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ふ ぐ 工 房
それから第2章
2000.11.30.
~それから~ (ふぐ工房)
第2章 出会い
『あ~ 何かひまやな~ 俺だけかな~ いや、そんなことないな‼
ふぐ工房のおやじ いつもゴロゴロしとるな~ あのおやじ なんかする事ないんかな~』
『あんちゃん‼』
『ん~』
『あんちゃん‼』
『なんか聞こえたな~』
『あんちゃん‼』
『えらいこっちゃ‼ 天国から、むかえに来とる‼ 俺まだ天国に行くのいややで‼』
『あんちゃん、なにブツブツ言うてるね‼』
『だれや‼ どこにいるネ‼』
『ここや‼ 後ろや‼ バカ‼』
『ビックリするやろ‼』
『さっきから声かけてるのに、ボヤ- としたり ブツブツ 言うたり ちょっと おかしいんちゃうか?』
『うるさいな~ おまえ誰やネ‼』
『俺、誰やろ?』
『俺に 聞いてもわかるか‼ どこから来たんや‼』
『ようわからんねや? 気が付いたらここにいるんや‼
そやけど あんちゃん えらいデッカイ腹やな‼ なに食ってるねや?』
『ほっとけ‼ おまえも俺とおんなじやデ‼』
『何で 俺が あんちゃんみたいな デッカイ腹やね‼ それより ちょっと思い出してきたデ‼
あれはどこやったかな~ そうや田舎に帰った時の事や 幼なじみの直ちゃんとデートしてた時や』
『ちょと待て おまえがデートやて? そのかっこで? それはないやろ‼』
『アホか‼ あんちゃんとちがうデ‼ 俺はもてるんやからナ‼』
『ほっとけ‼ それからどないしたんや‼』
『うるさい あんちゃんやナ~ やっと思い出したのに 忘れてしまうやん 黙って聞きいナ‼』
直ちゃんとデートしてた時な 急に目の前に大好物のエビが泳いで来たんや 彼女の前やったんで
ちょと迷ってんけどな 腹もへってたし一口で食ったんや‼ その時どないなったと思う』
『そんなとこ 直ちゃんに見られたら きっちり振られたやろ‼』
『そやねん 急に直ちゃん消えてしもてん‼ それだけと違うねん‼ 口に針が刺さって めっちゃ痛かっ
たし俺、潜ろう思ても誰かひっぱとるねん‼ そのうち丘に上げらてしもて どないもならへんね‼』
『あれ‼ おまえもか‼ 実は、俺も同じや丘に上げられたら 俺のまわりでなんかしゃべっとるネ‼
今晩、てっさにしょうか てっちりがええでとか 好きなこと言いやがって 俺ブチ切れて言うたったんや‼
“オマエら 俺に 何をするねん”
そんなら あいつらどう言いよった思う。うるさい‼ だまっとれ‼ そう言うて俺を殴りやがって
その時や思うねん 失神して気が付いたらここにいたんや。お前も同じやろ』
『そうや……』
『でもな そんな心配せんでもええ ここに居たら ひょっとしたら直ちゃんに会えるかも分からんデ‼』
『そうかな?』
『まだ 名前聞いてなかったナ 俺、とら吉や よろしく』
『俺、寅次郎 よろしく』
『どっかで 聞いたことある名前やな。まあ これから仲良ういこか。』
“なみだ” “ナミダ” “涙” これが とら吉と 寅次郎の 感動の出会いであった。

